令和元年度改正のお知らせ:意匠権の存続期間が「出願日から25年」に変更されます

意匠法と特許法の一部が下記の通り改正されます。特に、意匠法は保護対象や関連意匠など従来と大きく異なる点がありますので注意が必要です。

  • 意匠法の改正事項

    (1)保護対象の拡充
    物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインが新たに意匠法の保護対象となります。

    (2)関連意匠制度※の見直し
    ※自己の出願した意匠又は自己の登録意匠(本意匠)に類似する意匠の登録を認める制度
    ・関連意匠の出願は、現在、本意匠の登録の公表日まで(8か月程度)となっていますが、本意匠の出願日から10年以内までに延長されます。
    ・関連意匠にのみ類似する意匠の登録も認められるようになります。

    (3)意匠権の存続期間の変更
    意匠権の存続期間は現在「登録日から20年」ですが、4月1日以降の出願から「出願日から25年」に変更されます。

    (4)意匠登録出願手続の簡素化
    ・現在、一意匠を一出願で行うこととなっていますが、複数の意匠の一括出願が行えるようになります。
    ・特許庁の指定する物品の区分が廃止されます。なお、従来通り物品の名称を記載することは必要です。

    (5)間接侵害※の拡充
    ※侵害を誘発する蓋然性が極めて高い予備的・幇助的行為
    間接侵害の対象に「その物品等がその意匠の実施に用いられることを知っていること」等の主観的要素が追加されます。これにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為が取り締まれるようになります。

  •  特許法の改正事項

    (1)中立な技術専門家が現地調査を行う制度(査証)の創設
    特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が、被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出することが可能なります。

    (2)損害賠償額算定方法の見直し※
    ・侵害者が販売した数量のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求できるようになります。
    ・ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できるようになります。
    ※実用新案法、意匠法及び商標法にも適用されます。

 

特許法等の一部を改正する法律(令和元年5月17日法律第3号)

(下記URL参照)

https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen.htm